日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか? ロッシェル・カップ(第1回)

2015年、最初の「編集者インタビュー」に登場するのは、『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(クロスメディア・パブリッシング刊)の著者で人事・経営コンサルタントのロッシェル・カップさんです。アメリカ生まれのロッシェルさんは、多くの日本企業をクライアントとして持つコンサルティング会社の経営者であり、日本の金融機関の東京本社勤務を経験するなど、人事・コンサルティング業界では日本通として知られる方です。今回は、ロッシェルさんの新刊同様、近年、人材マネジメントのキーワードとなっている「エンゲージメント」をテーマにインタビューをしました。ちなみに「エンゲージメント」とは、“個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係”(出典:日本の人事部)のことを言います。


Rochelle Kopp(ロッシェル・カップ)

人事・経営コンサルタント

職場における異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタント。シリコンバレー在住。エール大学歴史学部卒、シカゴ大学経営大学院修了(MBA取得)。大手金融機関の東京本社勤務を経て、日本の多国籍企業の海外進出や海外企業の日本拠点をサポートしているジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社を設立、同社社長。現在、北米、日本、ヨーロッパ、南米と中国に拠点を置き、トヨタ自動車、東レ、アステラス製薬、DeNA、JINSなど多くの日本企業へのコンサルティング活動を行う。著書は『外国人部下と仕事をするためのビジネス英語―指示・フィードバック・業績評価』(語研)、『グローバルエリートのビジネス・キーワード100』(IBCパブリッシング)など、多数。

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本当にそうなの? 日本人のやる気の低さ。

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小早川:本書のタイトルを目にした友人・知人の多くから、「本当に日本人のやる気は低いの?」「日本人は勤労意欲が高い国民だと思うんだけど…」ということを言われるのですが、アメリカ人のロッシェルさんの目から見たら、日本企業のビジネスパーソンのモチベーションは低いように見えるのですよね。

ロッシェル:はい。もちろん、すべての人のモチベーションが低いわけではありませんよ。私が一緒に仕事をしている日本人は、高い意欲を持って仕事をしている方ばかりです。しかし、経営者や人事担当者、部下を持つ上司の悩みとして、社員や部下のモチベーションの低さは日本ではよく挙がる問題ですし、現場の方からの声や私の日本企業での勤務経験からすると、総じて日本企業の社員の仕事に対するモチベーションは低いように感じます。人事系のコンサルティング会社などが行う、社員のやる気を測るエンゲージメント調査の結果を見ると、日本企業の社員のエンゲージメントレベルが他国と比較してかなり低いという傾向が、どの調査結果からもわかります。ちなみに、社員のエンゲージメントレベルが高い国は、インドやメキシコ、アメリカなどが挙げられます。

小早川:そうなんですね。私の場合、仕事で付き合いのある人はすべてモチベーションの高い人ばかりなのかもしれません。モチベーションの低い人とはできるだけ付き合わないようにしていますから(笑)。それはそうとして、世界の主要国のビジネスパーソンと比較して、日本企業の社員のモチベーションが低い要因は何なのでしょうか?

ロッシェル:私が思うに、日本企業の社員は楽しそうに仕事をしていませんよね。やりたくない仕事、自分の適性と合わない仕事、自分が得意ではない仕事をしている人が多いように思います。生活のため、収入を維持するため、会社の看板や肩書きを手放したくないために、我慢して働いている人が多いのです。これに対し、先に出たエンゲージメントの高い国のビジネスパーソンは、楽しい仕事、自分のキャリアアップとなる仕事に従事している割合が高いと言えます。

 

 

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小早川:確かに、そう言われると日本企業の社員のエンゲージメントの低さは理解できます。趣味や興味のあることのように、楽しいことは時が経つのを忘れて夢中でがんばれますし、自分の得意なことだったら、良い結果を生み出しやすいですから。

ロッシェル:日本企業の社員は残業が多いですよね。中には、自分の仕事が終わっているのに、上司や同僚が残っているから、帰りづらくて帰らないという人もいます。そのように、長時間労働というのもエンゲージメントの低さ、そして生産性の低下にもつながっています。アメリカではそのようなことはありません。

小早川:そりゃぁ、楽しくない仕事を毎日長時間していたら、やる気は失せてきますし、生産性も上がりませんよね。でも、ロッシェルさんはハードワーカーですよね。ご一緒に仕事をしていて感心しました。アメリカ時間の深夜に、ロッシェルさんからメールで送られてきた原稿を読むと、「残業は良くない」ということが滔々と書かれていました。その原稿を読みながら「そういうあなたも仕事し過ぎでは・・・」と思いましたよ(笑)。

ロッシェル:私は好きな仕事をしていますし、エンゲージメントが高いから、ハードワークは全然大丈夫です(笑)。

 

 

ロッシェル:私は好きな仕事をしていますし、エンゲージメントが高いから大丈夫です(笑)。

 

※2月5日公開の続編に続きます。




[取材・文]:小早川幸一郎(クロスメディア・パブリッシング代表取締役)


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